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キッチンカーの開業に必要な許可と費用

車内で調理して売るには保健所の「飲食店営業」の許可と食品衛生責任者が要ります。給水タンクの容量で作れる料理が変わること、許可は自治体ごとに取ること、手数料の実額を自治体名つきで解説。

キッチンカーひろば読むのに約5

ざっくり言うと

  • 車内で調理して売るには、保健所の「飲食店営業」の許可が要ります。2021年6月の食品衛生法改正で区分が整理されました。
  • 車ごとに食品衛生責任者を置きます。調理師などの資格がなければ6時間の講習で取れ、東京都の受講料は12,000円
  • 許可は営業する自治体ごとに取るのが原則。手数料は東京都港区で16,000円渋谷区で18,300円大阪市で16,000円

営業許可

キッチンカーの車内で調理した料理を売るには、食品衛生法に基づく営業許可が要ります。取るのは「飲食店営業」の許可。厚生労働省の資料には、自動車で調理した食品を提供する事業者は固定の店と同様に許可が必要とあります。

制度の土台は2021年6月1日に変わりました。許可業種は34から32に再編され、それまで別だった喫茶店営業は飲食店営業に統合。

神奈川県のページには、営業車で取れる許可業種として飲食店営業、菓子製造業、魚介類販売業、食肉処理業が並んでいます。車内で調理して提供するなら飲食店営業です。

同じ改正で、HACCP沿った衛生管理が義務になりました。大阪市の案内によると、業界団体の手引書に沿って衛生管理計画を作り、毎日の実施記録を残します。

申請から許可までの流れは、大阪市の案内では次の順です。

  1. 車内を改修する前に、平面図を持って保健所に相談する
  2. 営業開始の2〜3週間前までに申請し、手数料を納める
  3. 書類審査と、車を持ち込んでの施設検査を受ける
  4. 許可の通知を受けて営業開始。許可証は車内の見やすい場所に掲示する

食品衛生責任者

営業許可とは別に、食品衛生責任者を定める義務があります。東京都のページでは、調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士などの資格を持つ人はそのまま責任者になれます。

資格がない人は養成講習会を受けます。東京都食品衛生協会の講習は6時間で、食品衛生学が2時間30分、公衆衛生学が30分、食品衛生法が3時間。最後に確認試験があります。

受講料は12,000円(受講料10,000円教材費等2,000円)。17歳以上なら経験や学歴は問われず、eラーニング型もあります。大阪市も、有資格者がいなければ養成講習会の受講が必要としています。

車両の設備

車内の設備は「施設基準」で決まっています。大阪市の案内から要点を拾うと、調理場は運転席と隔壁で区画すること、床・内壁・天井は洗いやすい材料で作ること。ベニヤ板やカーペットは不可です。

手洗い用のシンクは、器具を洗うシンクとは別に設けます。水栓はセンサー式、レバー式、踏み込み式のいずれか。静岡県のページも、2021年6月の改正で手洗いの水栓が手指の再汚染を防ぐ構造に限られた書いています。

給水タンクの容量で、作れる料理の幅が決まります。大阪市の区分は3つ。

給水タンク車内でできること
Ⅰ型40L以上調理1工程で単一品(例:たこ焼き、揚げ物1品)
Ⅱ型80L以上調理2工程まで(例:野菜を切って炒める焼きそば)
Ⅲ型200L以上3工程以上、食品の洗浄、使い捨てでない食器の使用

廃水タンクは給水タンク以上の容量。ほかに冷蔵設備と温度計、蓋付きのゴミ箱、密閉できる保管設備、換気扇や窓などの換気設備が要ります。

許可は自治体ごと

許可の効力は、原則として許可を出した自治体の区域内です。厚生労働省の資料には、固定施設と同様に「管轄区域ごとに営業許可が必要」とあります。東京で許可を取った車が大阪で営業するには、大阪でも許可が要ります。

区域の範囲は自治体で違います。渋谷区や中野区のページには、「都内一円で有効な飲食店営業(自動車)の許可」があれば区内で営業できるとあります。

神奈川県は2021年6月1日以降の許可について、県内の自治体で営業を認め合う運用にしました。大阪府と和歌山県は2025年6月1日から、関西広域連合の指針でどちらかの許可があれば両域で営業できます。

厚生労働省は2026年3月27日付の通知で、県をまたぐ運用の事例を全国の自治体に示しました。同じ通知には、今後、営業許可の申請時に営業場所の記載を必須にするなどの措置を予定していると書かれています。

申請先は、大阪市の場合、仕込み場所か車の保管場所の所在地を管轄する保健所です。営業したい街を先に決めて、その自治体の保健所に相談するのが順番です。

費用の目安

許可の手数料は自治体の条例で決まり、金額が違います。公式ページに書かれている額を並べます。

自治体飲食店営業(自動車)の手数
東京都港区16,000円
東京都渋谷区・中野区18,300円
大阪市16,000円
静岡県16,100円

食品衛生責任者の講習は、東京都食品衛生協会で12,000円手数料と講習を足しても3万円前後で、開業費用の大半は車両と改装です。

車両と改装の額は、公的機関や大手メディアに確認できる具体額がありませんでした。車の新旧、改装の範囲、上の型のどれで許可を取るかで変わります。

日本政策金融公庫の「創業の手引+」(飲食業向け)には資金計画の様式があり、設備資金として店舗・機械・備品・車両を、調達として自己資金と借入を書き分けます。開業前にこの表を埋めると、必要額が見えます。

出店場所の確保

許可が取れても、車を停めて売る場所がなければ営業できません。オフィス街の平日ランチは、ビルの敷地を運営会社が借り、登録店に曜日枠を割り当てる形が中心です。

店の側でやることは、運営会社への登録と、割り当てられた曜日に決まった場所へ行くこと。場所探しと交渉は運営会社が受け持ちます。

場所を貸す側と割り当てる側の役割分担はオフィス街にキッチンカーが来る仕組み書きました。

どの街に会場が多いかはエリアから探す分かります。当サイト掲載データ2026年9月集計、831店・476か所)では、東京都の会場が278か所次いで福岡県45、大阪府38でした。

厚生労働省の通知にある「営業場所の記載を必須にする」措置が入れば、出店場所と許可の結びつきは今より強くなります。場所の当てをつけてから保健所へ行く方が、手戻りが減ります。

出典

  1. 自動車による飲食店営業について(厚生労働省)
  2. 自動車を用いた飲食店営業に関して複数の都道府県間等の区域を越えて営業を行うことを可能とする事例について(厚生労働省、2026年3月27日)
  3. 営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報(厚生労働省)
  4. 「営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設に関するQ&A」について(厚生労働省、2021年8月)
  5. 食品衛生法の改正に伴う営業許可・営業届出について(江東区)
  6. 令和3年6月1日から新たな「営業の許可・届出制度」が始まります(八王子市)
  7. 令和3年6月1日から自動車による移動食品営業が変わりました(神奈川県)
  8. 新たにキッチンカーによる飲食店営業を始める方へ(大阪市)
  9. 自動車(キッチンカー)による営業について(大阪市)
  10. 自動車による営業の取扱いについて(大阪府)
  11. 自動車の営業許可申請(新規)について(渋谷区)
  12. 食品営業申請(新規)自動車営業(中野区)
  13. 自動車で食品を提供される方へ(港区)
  14. 自動車(キッチンカー)による飲食店営業について(静岡県)
  15. 食品衛生責任者(東京都保健医療局「食品衛生の窓」)
  16. 食品衛生責任者養成講習会(一般社団法人東京都食品衛生協会)
  17. 新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引+(日本政策金融公庫、令和7年9月)

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